2人で話せば、すべて「対話」なのでしょうか。
第15回では、一人語りよりも対話型のPodcastが聴きやすい理由を入り口に、「会話」と「対話」の違いを考えます。
日常の出来事や、すでに分かっていることを言葉で伝え合うのが会話だとすれば、まだ自分でも分かっていない思いや、言葉の奥にある背景を、一緒に探っていくのが対話なのかもしれません。
人や会社の本質、仕事の目的、ブランディングの核を見つけるには、表面的な言葉のやり取りだけでなく、深く潜っていく対話が必要です。
今回の探究テーマは、「あなたにとって、会話と対話は何が違いますか?」です。

「売る気がないのに自然に売れる、本質整合経営」。
この番組は、人や組織の本質を言語化し、本質と一致した生き方、そして本質整合した仕事と経営のあり方を探究する番組です。

こんにちは。本質整合研究所の櫻木隆志です。

インタビュアーの高須早智子です。
櫻木さん、今回もよろしくお願いします。

よろしくお願いします。

今回の配信は8月17日です。
まだまだ暑い日が続きますね。
台風などの自然災害も気になる時期ですので、皆さん、どうぞお気をつけください。
さて、今日は櫻木さんから、うれしいご報告があるんですよね。
Podcastランキングで最高15位に

はい。
このPodcastは、6月末頃から配信を始めました。
まだ始まってから2カ月もたっていないのですが、Apple Podcastsには、カテゴリーごとのランキングがあります。
この番組は、ビジネスカテゴリーのなかの「マーケティング」に登録されています。
配信を始めて間もない頃に、ランキングの200位以内へ入り、番組名が表示されるようになりました。
そのときも、
「少しずつ聴いていただけているんだな」
とうれしく思いました。
その後、少しずつ順位が上がり、先週は最高で15位まで上がりました。

15位ですか。すごいですね。

その後は50位から60位前後で推移しています。
ランキングの周りを見ると、著名な方の番組や、私自身が以前から聴いていた番組も並んでいます。
その中に、この番組が入っていることが、本当にうれしいです。
リスナーの皆さんに、感謝とともにご報告したいと思いました。

今日の収録前に確認した時点では、56位でしたね。
順位という形で表れると、
「実際に聴いてもらえているんだ」
ということが目に見えて分かるので、私もうれしいです。

本当にありがたいですね。
有名な人間でもありませんし、「本質整合」という、かなりマニアックなテーマです。
始める前には、
「一体、誰が聴いてくれるのだろう」
という不安もありました。
それでも、思っていた以上に多くの方に聴いていただけているようで、本当に感謝しています。

本質整合という考え方を、ここまで中心に据えた番組は、ほかにはあまりないと思います。
これからも、皆さんに聴いていただけるとうれしいですね。
なぜ対話型のPodcastは聴きやすいのか

それでは、今日のメイントークは、どのようなテーマでしょうか。

今のランキングのお話とも、少し関係します。
この番組を聴いていただけている理由の一つに、高須さんとの対話形式があるのではないかと思っています。
おそらく、私が一人で同じ内容を話していたら、今ほど聴いていただけていないのではないでしょうか。
Podcastには、一人で語る番組もあれば、二人以上で話す番組もあります。
全体としては、対話形式の番組が多い印象がありますし、聴きやすいと感じる人も多いのではないかと思います。
今日は、
「なぜ、対話形式のPodcastは聴きやすいのだろう」
というところから考えてみたいと思います。

私自身が番組を聴くときも、対話形式のほうが内容へ入りやすい感覚があります。
人と人のやり取りを聴いていると、そのテーマの中へ自然に入っていけるんですよね。

高須さんも、対話形式の番組を聴くことが多いですか?

そうですね。振り返ると、対話型の番組を聴くことが多いと思います。

私もそうです。一人語りの番組にも、内容が面白いものはあります。
ただ、継続して聴いているのは、二人で話している番組のほうが多いんです。
人間は長い間、誰かと話してきた

以前の放送で、話し言葉と文字の違いについて考えました。
人類は、文字を使うようになるよりも、はるかに長い間、言葉を話し、誰かの話を聞いてきました。
話すことや聞くことは、人間にとって非常に自然なコミュニケーションです。
同じように、誰かと語り合うことも、人類が長い時間をかけて続けてきた行為です。
一方で、一人の人が10分、20分と話し続け、それをほかの人が一方的に聞き続けるという状況は、日常生活ではそれほど多くありません。
もちろん、講演や授業などではあります。
ただ、普段の人間関係では、お互いに言葉を交わしながらコミュニケーションをしています。
だからこそ、二人が話しているのを聴くほうが、人間にとって自然で、馴染みやすいのかもしれません。
一人で話す側も大変ですが、それを聞き続ける側にも、ある程度の集中力が必要です。
対話形式では、話す人が入れ替わり、質問や反応が入ります。
その変化によって、聴き手も疲れにくくなるのではないでしょうか。
読むPodcastも対話形式にした理由

本質整合研究所のホームページで公開している「読むPodcast」も、対話形式にしています。
単に内容を文章としてまとめるだけなら、一人称の解説記事にもできます。
しかし、「読むPodcast」と名づけるからには、音声番組の持つ対話らしさを残したいと思いました。
高須さんと私のやり取りがあることで、文章でも内容へ入りやすくなるのではないかと考えています。

私も先日、子育てに関する講演会へ参加しました。
登壇者はお一人だったのですが、会場にいる人たちへ何度も問いを投げかけ、反応を受け取りながら進めていました。
一方的な講演というより、会場全体との対話のような雰囲気だったんです。
そのため、1時間があっという間で、最後まで飽きずに聴くことができました。
櫻木さんも講演をされるときは、対話を大切にしていますか?

大切にしています。
私自身、一方的に話を聞き続けるよりも、途中でアウトプットしたり、誰かとやり取りしたりするほうが、内容が自分の中へ入りやすいと感じます。
そのため、自分が話す場合にも、講演だけで終わらせず、ワークショップを組み合わせることが多いですね。
参加者に考えてもらう。
近くの人と話してもらう。
自分の言葉で書いてもらう。
会場から意見を聞く。
そうしたやり取りがあることで、受け取るだけではなく、自分自身のテーマとして考えられるようになります。
一人語りにも、対話の構造がある

もちろん、一人で話すことが非常に上手で、
「もっと聴きたい」
と思わせる方もいます。
それでも、一般的には、対話形式のほうが入りやすい部分はありそうですね。

そうですね。
落語などは、一人で演じていますが、複数の人物の会話を表現しますよね。
一人で語っていても、その中に対話の構造がある。
やはり、人間は、言葉が一方向に流れるだけではなく、問いと答え、投げかけと反応が行き交う形に、入りやすさを感じるのかもしれません。
二人で話せば、すべて対話なのか

ただ、ここからもう一つ考えたいことがあります。
二人で話しているからといって、そのすべてが「対話」なのでしょうか。
二人で言葉を交わすものには、「会話」と「対話」という二つの表現があります。
この二つは、少し意味が違うように思います。

確かに違う感じがしますね。
私の感覚では、「会話」は、日常のたわいもない話や、人とコミュニケーションを取るための言葉のやり取りです。
一方、「対話」と言うと、もう少し深い内容を話すイメージがあります。

そうですよね。
例えば、
「友達との会話」
「友達との対話」
は、どちらも使えます。
しかし、受ける印象は少し違います。
「親子の会話」
「親子の対話」
も同じです。
どちらも言葉を交わしていますが、「対話」と言うと、互いの考えや気持ちへ、もう一歩深く入っていく感じがあります。
また、「日常会話」とは言いますが、「日常対話」という表現は、あまり使いません。
反対に、「自己対話」とは言いますが、「自己会話」という表現は、ほとんど聞きません。
そう考えると、やはり、会話と対話には、言葉の深さや目的の違いがあるように思います。
会話は、すでに分かっていることを伝え合う

現時点で、私は次のように考えています。
会話は、主に言葉をやり取りし、すでに自分が分かっていることを相手へ伝えるものです。
今日あった出来事。
最近見たもの。
自分が知っている情報。
今感じていること。
それぞれが持っているものを、言葉にして交換します。
会話には、人との関係をつくり、場を和ませ、互いの存在を確認する大切な役割があります。
深い内容でなければ価値がない、ということではまったくありません。
何気ない日常会話によって、人間関係は支えられています。
対話は、まだ分かっていないことを一緒に探る

一方、対話は、すでに分かっていることを伝え合うだけではありません。
自分でも、まだ分かっていないことを、相手と一緒に探っていく。
言葉の背後にある気持ち。
その人が置かれている背景。
本人もまだ気づいていない思い。
互いの意見が違う理由。
そのテーマの奥にある本質。
そうしたものを、問いかけ、受け取り、さらに問い返しながら、少しずつ明らかにしていきます。
会話が、持っているものを交換する行為だとすれば、対話は、二人の間から新しいものを生み出す行為なのかもしれません。

Podcastの中にも、会話を楽しむ番組と、対話を通じてテーマを掘り下げる番組があるということですね。

ありますよね。
気軽な雑談を楽しむ番組もあれば、一つのテーマについて、かなり深く探っていく番組もあります。
どちらにも、それぞれの魅力があります。
この番組は、どちらかというと、対話によって問いを深めていく番組ではないかと思っています。
本質を探るには、対話が必要になる

櫻木さんが扱っている「本質整合」というテーマでは、対話が特に重要になるのでしょうか。

重要になりますね。
自分の本質とは何か。
会社やお店の本質とは何か。
何のために仕事をしているのか。
本当は、どのような未来をつくりたいのか。
こうした問いには、すぐに出せる正解がありません。
表面的な答えであれば、
「地域に貢献したい」
「お客さまに喜んでもらいたい」
「よい会社にしたい」
と答えられます。
もちろん、それは嘘でも間違いでもありません。
ただ、
「なぜ地域に貢献したいのか」
「どのようなときに、最もお客さまの喜びを感じるのか」
「自分にとって、よい会社とはどういう会社なのか」
と問いを重ねていくと、その人固有の経験や価値観が見えてきます。
本質は、最初から完成した言葉として存在しているわけではありません。
対話を重ねながら、まだ言葉になっていないものを少しずつ見つけ、形にしていく必要があります。
ブランディングの核も、深い対話から生まれる

櫻木さんは、いろんなお店や企業のブランディング支援にも関わってきました。
経営者の方とお会いするときも、最初は会話から始まり、だんだん対話へ入っていくのでしょうか。

そうですね。
普段の関係では、まず会話があります。
近況を聞いたり、仕事の様子を話したり、何気ないやり取りを重ねたりします。
そこから、実際にお店のブランディングを考える段階になると、対話へ入っていきます。
なぜ、この仕事を続けているのか。
どのようなお客さまとの関係を大切にしているのか。
どんな場面で、最もその人らしさが表れるのか。
これまで、どのような出来事に心を動かされてきたのか。
そうした問いを重ねながら、深く潜っていきます。
そして、そのお店の中心にある思いや、本質を表すキーワードへたどり着く。
そこまで深く入ることができると、ほかのお店には当てはまらない、その店だけのブランディングが生まれます。
見栄えのよい言葉を外からつけるのではありません。
もともとその人やお店の中にあるもの、その深いところにあるものを、対話によって掘り起こしていく。
そのため、どこまで深く対話できるかが、とても重要になります。
AIとのやり取りにも、会話と対話がある

櫻木さんは、AIとも深い対話をされていますよね。
以前、AIとの対話で涙が出たというお話もありました。
AIとのやり取りにも、会話と対話の違いはあるのでしょうか。

あると思います。
AIへ軽く質問し、情報を教えてもらう。
ちょっとした相談をして、すぐ答えをもらう。
そのようなやり取りは、会話に近いかもしれません。
一方で、
「なぜ、この言葉に自分は反応したのだろう」
「本当は、何を望んでいるのだろう」
「この経験には、自分にとってどのような意味があったのだろう」
と掘り下げていくと、AIとのやり取りも対話になります。
大切なのは、相手が人間かAIかだけではありません。
まだ分かっていないものを、一緒に探ろうとしているか。
自分の内面へ、どこまで誠実に向き合っているか。
そこに、会話と対話を分けるものがあるのかもしれません。
日常会話が少し苦手な理由

人が生きていくうえで、対話は大切ですね。
心の中にある思いや、自分の本質を言葉にしていくためにも必要なのだと思います。

そうですね。
もちろん、会話と対話に優劣があるわけではありません。
ただ、私自身は、日常会話や雑談があまり得意ではないところがあります。

そうなんですか?

テンポよく、次々と話題を切り替えながら雑談することが、あまり得意ではありません。
なぜかというと、何か聞くたびに、
「それは、どういうことなのだろう」
「その奥には、何があるのだろう」
と考え始めてしまうからです。
一つの言葉について考えている間に、日常会話は次の話題へ進んでいきます。
そのため、会話のテンポについていけなくなることがあります(笑)。
もちろん、日常会話ができないわけではありません。
ただ、自分の中では、もっと深いところへ入りたくなる。
そういう思考の癖があります。
だからこそ、対話のほうが好きですし、得意なのだと思います。
そして、その性質を使うことで、人や会社の本質を見つけるお手伝いができるのではないかと考えています。
会話から対話へ入るために必要なもの

会話から対話へ進むには、何が必要なのでしょうか。

まず、安心して話せる関係が必要だと思います。
対話では、自分でもまだ整理できていないことや、人にはあまり話していない思いを扱う場合があります。
すぐに評価されたり、否定されたり、結論を急がされたりする場では、深いところまで話すことはできません。
相手の言葉を急いで解釈せず、しっかり聞く。
すぐに答えを出そうとせず、一緒に考える。
沈黙があっても、待つ。
表面に出た言葉だけでなく、その背景にも関心を持つ。
そうした関わりがあることで、会話は少しずつ対話へ変わっていくのではないでしょうか。
対話は、優れた質問をすれば成立するというものでもありません。
相手を変えようとするのではなく、まだ分かっていないものに、二人で向き合う。
その姿勢が大切なのだと思います。
Podcastも、完成した答えを伝える場ではない

このPodcastも、私がすでに持っている完成した答えを、高須さんやリスナーの皆さんへ一方的に伝える場ではありません。
テーマについて高須さんから質問していただき、私自身も、その場であらためて考える。
高須さんの反応を受けて、
「確かに、そういう見方もある」
「では、これはどうなのだろう」
と、さらに考えが広がる。
その過程で、収録前には見えていなかった言葉や問いが生まれることがあります。
その意味では、この番組は、対話の結果を配信しているというより、対話によって探究が進んでいく過程そのものを配信しているのだと思います。
そして、リスナーの皆さんにも、その対話へ参加していただきたい。
番組を聞きながら、自分だったらどう考えるかを思い浮かべる。
「私は少し違うと思う」
「自分にとっては、こういう意味だ」
と考える。
さらに、お便りを通して言葉を返していただく。
そうすることで、この番組は、高須さんと私だけの対話ではなく、リスナーの皆さんを含めた探究の場になっていくのだと思います。
今回の探究テーマ

それでは、今回のお話の探求テーマをお願いします。

今回の探究テーマは、
「あなたにとって、会話と対話は何が違うでしょうか?」
です。
会話は、どのような役割を持っているでしょうか。
対話は、どのようなときに生まれるでしょうか。
誰かと話しているときに、
「今、会話から対話へ変わった」
と感じた経験はあるでしょうか。
反対に、深く話したいのに、表面的な会話で終わってしまったことはあるでしょうか。
そして、自分自身や誰かの本質へ近づくためには、どのような関係や聞き方が必要なのでしょうか。
皆さん自身の経験と重ねながら、考えてみていただければと思います。

本質整合研究所のホームページでは、「読むPodcast」を公開しています。
音声で聞いて終わるのではなく、文字で読み返しながら、ご自身の考えを深めていただけたらうれしいです。
また、この番組は答えを一方的にお伝えする番組ではありません。
リスナーの皆さまと一緒に問いへ向き合い、本質を探究していく番組です。
今回の探究テーマ、
「会話と対話は、何が違うのか」
について、
「私はこのように感じた」
「自分にとって書くことには、このような意味がある」
「私はAIをこのように使い分けている」
といったことを、ぜひお便りフォームからお聞かせください。
皆さまから届いた問いや気づきが、次回以降の探究につながるかもしれません。
それでは、今回もお聴きいただきありがとうございました。

ありがとうございました。
「本質と一致して生きる」。本質整合研究所がお届けしました。
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