仕事はできる。むしろ得意でもある。それなのに、なぜかエネルギーが湧かず、心のどこかに違和感が残る――。その感覚は、自分の本質とのずれを知らせるサインかもしれません。
第5回では、成績順に進路が決められた高校受験、安定した就職先を勧められた大学時代、売上や利益が優先される社会への違和感など、櫻木隆志がこれまで感じてきた数々のモヤモヤを振り返ります。
町の電器屋さんの本質を研究し、本を書くときには、内側から驚くほどのエネルギーが湧いた。一方、得意な販促支援でも、同じ力は出てこなかった。
「できる仕事」「得意な仕事」「本質に合う仕事」は同じとは限りません。違和感とエネルギーを手がかりに、自分に合った働き方を考えます。

「売る気がないのに自然に売れる、本質整合経営」。
この番組は、人や組織の本質を言語化し、本質と一致した生き方、そして本質整合した仕事と経営のあり方を探究する番組です。

こんにちは。本質整合研究所の櫻木隆志です。

櫻木さん、今回で第5回目の配信となりました。よろしくお願いします。
これまでのオープニングでは、櫻木さんがサッカーをされていたことや、ゲームがお好きだったことなど、いろいろなお話を伺ってきました。
今回は、学生時代の勉強について聞いてみたいと思います。勉強のほうはいかがでしたか?
成績順に決められる進路への違和感

学生時代は、それなりに真面目に勉強していたと思います。
ただ、勉強に関して強く記憶に残っているのは、中学3年生で高校受験を迎えたときに感じた違和感です。
当時は、生徒が成績順に輪切りにされるような形で、受験する高校が決まっていきました。
一応、三者面談などはあったと思いますが、生徒一人ひとりの希望をじっくり聞くというよりも、成績に応じて、ほぼ自動的に受験する高校が割り当てられていくような感じでした。
今では私立高校へ進学する人も増え、選択肢も変わっていると思います。
しかし、当時は基本的に多くの生徒が公立高校を目指し、成績順に受験校が決まっていました。
私は、それを見て、
「何か変だな」
と感じていたんです。

櫻木さんの中学時代は、鹿児島ですよね。
私が育った静岡でも、ほとんど同じような状況でした。
地方では、通える高校の選択肢があまり多くありません。成績の上から順番に、
「ここまでの生徒は、この高校」
「次の成績層は、この高校」
というように、まさに輪切りで受験校が決まっていました。
ピアノなどの芸術を専門的に学んでいる友人の中には、電車に乗って遠くの芸術系高校へ進学する人もいましたが、大半の生徒は、成績順に決められた高校を受験していましたね。

そうですよね。
私が違和感を持ったのは、生徒一人ひとりが何を望んでいるのか、その後どのような道へ進みたいのか、どのような個性を持っているのかを考えながら進路を決める、という視点がほとんどなかったことです。
もちろん、当時の私は、そこまではっきりと言語化して考えていたわけではありません。
ただ、振り返ってみると、
「あのとき感じていたモヤモヤは、こういうことだったのかもしれない」
と思います。
そして、そのような違和感を感じる経験は、その後、社会に出てからも、さまざまな場面で続いていきました。
今、私が本質整合ということを考え、伝えている背景にも、そうした経験がつながっているように思います。

それでは今回は、櫻木さんがこれまで感じてこられた「違和感」をテーマに、お話を伺っていきたいと思います。
安定している仕事を選ぶのが正解なのか

最初に強く感じたのは、高校進学のときの違和感でした。
その後、大学を卒業して就職するときにも、似たような違和感がありました。
私は経営コンサルティングの会社に就職したのですが、大学のゼミの先生からは、
「銀行に行けばいいのに」
と言われたんです。
私は銀行に興味があったわけでもなく、銀行で働きたいと思っていたわけでもありません。
おそらく先生としては、
「この成績なら銀行へ就職できる」
「銀行は安定しているから、そのほうがよい」
と、よかれと思って勧めてくださったのだと思います。
銀行だけでなく、電力会社なども勧められました。いずれも安定した仕事ですよね。
ただ私は、
「人がどのような人生を生きたいかは、一人ひとり違うはずなのに、なぜ安定しているという理由だけで就職先が決まるのだろう」
と感じていました。

先生としては、ご自身の経験から、櫻木さんの成績であれば銀行に行けるし、そのほうが将来も安心だと考え、アドバイスされたのでしょうね。
実際に、
「先生が勧めるなら、銀行を受けてみよう」
と考える学生もいると思います。
ただ、その仕事が自分のやりたいことや、自分の個性、本質と一致していない場合、いつか違和感を抱くことになりそうですね。

そう思います。
私は周囲を見ながら、
「ほかの人は、こういうことに違和感を持たないのだろうか」
と思っていました。
多くの人が、あまり疑問を持っている様子もなく、決められた流れに沿って進んでいく。
その姿を見て、
「自分のほうが変わっているのかな」
と思うこともありました。
ただ、そうした違和感は、その後もずっと、いろいろな場面で感じ続けてきました。
お客さまよりも、今月の売上が優先される

就職した後も、違和感はありました。
自分としては、お客さまのために仕事をしようと思っている。
ところが会社では、それ以上に、
「今月の売上をどうするか」
「目標をどのように達成するか」
ということが優先されます。
もちろん、会社を経営する以上、売上や利益は必要です。
しかし、世の中全体が、あまりにもお金を第一に考える価値観に偏っているように感じました。
株式会社という仕組みそのものが、そうなりやすいのかもしれません。
お金を動かし、お金によって、さらにお金を増やしていく。
投資もそうですが、私は、
「なぜ、お金を置いておくだけで増えていくのだろう」
と、金利という仕組みに対しても違和感を持つことがあります。
お金を持っている人ほど、さらにお金を増やしやすくなり、その結果、貧富の差が広がっていく。
私はこれまで、そのように、世の中のさまざまな仕組みに違和感を抱きながら生きてきました。

社会にある一般的な価値観に従えば、安定した会社へ入り、収入を得ることは、とても大切なことだと考えられています。
一方で、自分の本質とは違う方向へ進んでいると、どこかで苦しさを感じることもありそうですね。
生計を立てることと、本質に沿って生きること

櫻木さんは以前、インターネットの仕事をされていたときにも違和感を覚え、その仕事から離れたとお話しされていました。
仕事を辞めるとき、周囲からはどのような反応がありましたか?

私は、この魂が持って生まれてきた個性のようなものを「本質」と呼んでいます。
本質と経営が一致すると起こること

当然、
「この先、どうするの?」
「本当に大丈夫なの?」
という反応はありました。
生計を立てることは大切ですし、現実の生活を無視することはできません。
ただ、私は、それよりもさらに根底に、
「自分の本質に沿って生きること」
があるように感じています。
もちろん、本質だけを優先して、生活のことを何も考えなくてよいという話ではありません。
生計を立てることと、本質に沿って生きること。そのバランスを取りながら進んでいくことも、人生というゲームの一部なのだと思います。
ただ、今の社会は、
「お金を稼ぐこと」
「生計を立てること」
を、あまりにも重視しすぎているように感じます。
その結果、自分の本質や、本当に大切にしたいことへ意識を向ける機会が、少なくなっているのではないでしょうか。
本質と一致したとき、エネルギーが湧いてくる

私は、インターネットの仕事に傾きすぎたときに、強い違和感や虚無感を抱きました。
ところが、その後、町の電器屋さんと出会い、その商売について調べ始めたときには、自分の中からものすごくエネルギーが湧いてきたんです。
全国の電器屋さんを訪問し、話を聞き、さまざまなことを調べました。
そして、自分なりに考えたことをまとめ、発信していきました。
最終的には、その研究を一冊の本として出版するところまで進みました。
出版の際には編集者の方もいましたが、文章は最初から最後まで、すべて自分で書きました。
もちろん、大きな負荷はかかりました。
それでも、不思議なくらいに、自分の内側からエネルギーが次々と湧いてきたんです。
振り返ると、あのときの私は、自分の本質と一致していたのだと思います。

大変な作業であっても、無理に自分を奮い立たせるのではなく、自然にエネルギーが湧いてきたんですね。
得意な仕事と、本質に合う仕事は違う

その後、街の電器屋さんのサポートを続ける中で、徐々に、電器屋さんのブランディングや、その方の本質を言語化するお手伝いをするようになりました。
一方で、電器屋さんから幅広くさまざまな相談を受け、チラシづくりや販促活動など、一般的な販売促進のお手伝いもするようになりました。
そうした仕事も、決して嫌いなわけではありません。
できるか、できないかで言えば、できます。
得意か、不得意かで言えば、むしろ得意な仕事だと思います。
ところが、電器屋さんの本質を言語化し、その方の本来の魅力を経営に反映させていく仕事をしているときと、販促活動を支援しているときとでは、自分の中から湧いてくるエネルギーがまったく違いました。
販促の仕事も役に立つ仕事ですし、よい悪いという話ではありません。
ただ、
「できる仕事」
「得意な仕事」
「本質に合っている仕事」
は、必ずしも同じではないんです。

同じ「町の電器屋さんを支援する仕事」であっても、本質と整合している仕事をしているときには、エネルギーが一気に湧いてくる。
一方、少しずれている仕事では、得意であっても、同じようにはエネルギーが湧いてこない。
その違いを、実際に感じられたんですね。

そうですね。
私にとって本質と一致していたのは、その人の本質を言語化し、それを仕事や経営と結びつけることでした。
その結果、電器店の経営者本人が、生き生きと元気になっていく。
その人の魅力がお客さまにも伝わり、お客さまとの関係がよくなっていく。
その変化を見ることが、私にとって、この上ない喜びなんです。
うまいキャッチコピーを考えたチラシによって商品が売れることにも、もちろん価値があります。
ただ、それによって感じる喜びと、その人の内側からエネルギーが湧き、本来の姿へ変わっていく過程を見る喜びとは、種類が違います。
その違いを、自分自身のエネルギーを通して感じました。
違和感は、進む方向を教えてくれる

櫻木さんが実際に体験された、とても興味深いお話でした。
これまで感じてきた数々の違和感が、今の櫻木さんの活動につながっているんですね。
そして、反対に、自分の内側からエネルギーが湧き出し、心から幸せだと思える仕事も見つけられた。
それでは、今回のお話の本質をお願いします。

今回の本質は、
「違和感は、本質とずれていることを教えてくれるサインかもしれない」
ということです。
違和感は、単なる不満やわがままとして片づけられることがあります。
しかし、その違和感の奥には、
「自分が本当に大切にしたいことと、今やっていることが一致していない」
「自分の本質と、今いる環境や仕事がずれている」
というメッセージが隠れているのかもしれません。
一方で、自然にエネルギーが湧いてくること、時間を忘れて取り組めること、誰かが変わっていく姿を見て心から喜べることも、自分の本質を知る大切な手がかりになります。
違和感を無視するのではなく、
「この違和感は、何を教えてくれているのだろう」
と考えてみることが、本質と一致した生き方への入口になるのだと思います。

違和感は、自分の本質に気づくための大切なサインなのかもしれませんね。
これからも、本質整合について、さまざまなお話を伺っていきたいと思います。次回の配信も、ぜひ楽しみにしてください。
この番組では、リスナーの皆さまからのお便りをお待ちしています。
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それでは、お聴きいただきありがとうございました。

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