P010_その経営理念は、あなたを突き動かしているか?

Podcast
経営理念やミッションを掲げていても、それを見て自分自身のエネルギーが湧いてこないなら、その言葉はまだ本質と一致していないのかもしれません。

第10回では、ゴールデンサークル理論をさらに深め、WHYと経営者自身の本質が一致することの重要性を考えます。

本質と一致したWHYは、経営者や働く人を内側から突き動かし、その人らしい行動を生み出します。そして、そのエネルギーがお客さまにも伝わることで、共感や信頼が生まれ、自然に選ばれる経営へつながっていきます。

あなたの経営理念は、あなた自身を元気にしていますか。
それは「これこそ自分が働く理由だ」と思える言葉になっているでしょうか。

「売る気がないのに自然に売れる、本質整合経営」。

この番組は、人や組織の本質を言語化し、本質と一致した生き方、そして本質整合した仕事と経営のあり方を探究する番組です。

こんにちは。本質整合研究所の櫻木隆志です。

インタビュアーの高須早智子です。

櫻木さん、今回で第10回目の配信となりました。

そうですね。早くも第10回です。ありがとうございます。

ここまで続けてみて、櫻木さんご自身は、どのような感想をお持ちですか?

実際に聴いてくださった方の反応が、まだあまり分からないので、不安を感じながら話しているところはありますね(笑)。

この番組では、回を重ねるごとに、少しずつ深い話へ入ってきています。

講演であれば、会場の反応を見ながら、

「ここまで話しても大丈夫そうだな」
「少し分かりにくそうだから、説明を加えよう」

と調整できます。

ところが、Podcastでは、聴いている方の表情が見えません。

皆さんについてきていただけているのか、不安を感じながらお話ししています。

私は毎回、いろいろなお話を伺えて、とても楽しいです。

これまで町の電器屋さんの事例がたくさん登場しましたが、ほかの業種や商売にも応用できる内容が多いと感じています。

皆さんにも、これから引き続き聴いていただきたいですね。

ありがとうございます。よろしくお願いします。

前回は、ゴールデンサークル理論について伺いました。

今回は、前回だけでは収まりきらなかった続きのお話を伺いたいと思います。

ゴールデンサークル理論をおさらいする

ゴールデンサークル理論だけでも、かなり長い話になります。

前回は、ゴールデンサークル理論の基本的な部分をお話ししました。

今回は、そこからさらに深めていくなかで見えてきたことをお伝えしたいと思います。

まだ前回を聴いていない方には、ぜひ第9回から続けて聴いていただきたいですね。

そのうえで、簡単にゴールデンサークル理論のおさらいをお願いできますか?

櫻木
櫻木

ゴールデンサークルは、図で表すと、同心円状に三つの円を描きます。

一番中心にWHY。
その外側にHOW。
一番外側にWHATがあります。

多くの人は、外側のWHATから伝えます。

「私は、これを販売しています」
「私たちは、このような仕事をしています」
「この商品には、このような特徴があります」

と、まず何をしているのか、何を提供しているのかを説明する。

その後で、

「このような方法で提供しています」
「ほかの商品とは、ここが違います」

というHOWを伝えます。

営業であれば、そのうえで、

「いかがでしょうか」

と購入を勧める形になります。

しかし、それだけでは、たまたま相手のニーズに合っていない限り、なかなか人の心は動きません。

ゴールデンサークル理論では、逆に、中心にあるWHYから伝えていきます。

「私は、何のためにこの仕事をしているのか」
「どのような思いで、この活動をしているのか」

を最初に伝えます。

その思いがあるから、このような方法で取り組んでいる。
その思いを実現するために、この商品やサービスを提供している。

つまり、

WHY → HOW → WHAT

という、内側から外側へ向かう順番で伝えていくのです。

WHYから伝えると、人は自然に動く

櫻木
櫻木

ゴールデンサークル理論の有名な事例として、スティーブ・ジョブズのプレゼンテーションがあります。

単に、

「この製品には、このような機能があります」
「このようなデザインになっています」

と説明するのではありません。

まず、

「私たちは、テクノロジーによって世界を変えたい」

という思いを伝える。

その思いを実現するために、この機能を開発し、このデザインにしたのだと説明していくわけです。

WHYから伝えることで、人はその思いに共感し、自然に動き始める。

これが、ゴールデンサークル理論の基本的な考え方です。

私は、これを実際の経営の現場で、さまざまな形で試してきました。

すると、

「確かに、WHYから伝えると人は動く」

ということが、よく分かってきたんです。

例えば、お店が、

「私たちは、このような思いで仕事をしています」

と発信すると、その思いに共感して、お店のファンになってくださる方が増えていきます。

そして、何か必要なことがあったときに、自然に声をかけてもらえるようになります。

商品を勧めるときにもWHYがある

櫻木
櫻木

WHYは、経営理念やお店の存在意義だけではありません。

一つの商品をお客さまに勧めるときにも、WHYがあります。

例えば、町の電器屋さんがお客さまに洗濯機を提案するとします。

単に、

「この洗濯機には、この機能があります」
「今なら、この価格です」

と説明するのではありません。

「お客さまは、このような家族構成で、このような暮らし方をされていますよね。だから、この洗濯機のこの特徴が、きっとお役に立つと思います。そう考えて、この商品をおすすめしています」

と伝える。

つまり、

「なぜ、あなたにこの商品を勧めるのか」

というWHYを伝えるんです。

そうすると、細かな機能を一つひとつ比較しなくても、

「それなら、その商品にします」

と自然に決まることがあります。

実際に、そのような経験をした電器店の方から、何度も報告を受けてきました。

大型の家電量販店へ行くと、対応してくださる店員さんとは初対面です。

こちらの家族構成や暮らし方も、一から説明しなければなりません。

一方、いつもお世話になっている町の電器屋さんであれば、家族や暮らしのことをすでに理解してくれています。

その方から、

「櫻木さんのご家庭には、この洗濯機が合いますよ」

と理由も含めて提案されたら、

「では、それにします」

となりますよね。

櫻木
櫻木

そうなんです。

大前提として、まずお店の経営者自身が、

「何のために、この仕事をしているのか」

というWHYを持っています。

そして、お客さまに商品を勧めるときには、

「何のために、このお客さまへこの商品を提案するのか」

というWHYがあります。

つまり、経営者側のWHYと、お客さま側のWHYがあるんです。

その二つがつながり、言葉として伝わったとき、人は自然に行動します。

ゴールデンサークル理論は、本当に力のある考え方だと思います。

同じWHYでも、成果に差が出るのはなぜか

櫻木
櫻木

ただ、現場で実践を重ねていくと、もう一つ気になることが出てきました。

WHYを明確にして伝えることで、非常に大きな成果が出ることもあれば、そこまで大きな変化が起こらないこともあったんです。

同じようにWHYを言葉にして、同じように発信しているのに、なぜ違いが出るのだろう。

その違いを見ていくと、一つの大切なことが分かってきました。

それは、

そのWHYによって、本人自身が突き動かされているかどうか

ということです。

私はこれまで、経営者の方が、

「何のために、この仕事をしているのか」

を言語化し、それを発信するお手伝いをしてきました。

そのとき、言語化されたメッセージを見た本人が、

「これだ」
「これこそ、自分が仕事をしている理由だ」
「このためなら、もっと頑張りたい」

と思える状態になるかどうか。

その言葉によって、本人の内側から元気やエネルギーが湧いてくるかどうか。

そこが、非常に重要だったんです。

本質と一致したWHYには力がある

櫻木
櫻木

WHYを明確にすることは、確かに大切です。

しかし、どのようなWHYでもよいわけではありません。

そのWHYが、本人の本質と一致しているかどうか。

そこが、本当の鍵だと分かってきました。

本質と一致したWHYを掲げることができると、まず本人に変化が起こります。

自然にエネルギーが湧いてくる。
行動したくなる。
言葉に力がこもる。
その人らしさが、自然に表へ出てくる。

そして、そのエネルギーや思いがお客さまにも伝わっていきます。

お客さまの心の深い部分とつながり、理屈だけでは説明できない関係が生まれていく。

それによって、お客さまも自然に行動するようになります。

経営する側も、その理念によってやる気が湧いてくる。

そして、「お客さまのために動きたい」という気持ちが、お客さまにも伝わる。

両者にとって、とてもよい状態ですよね。

櫻木
櫻木

そうなんです。

経営者とお客さまの双方が満たされる関係になります。

経営理念は何のためにあるのか

櫻木
櫻木

経営理念を掲げている会社は多いと思います。

ただ、

「経営理念を掲げることが、実際に何の役に立つのか」

と聞かれると、明確に答えられない方も多いのではないでしょうか。

「経営理念は大切だと言われたから」
「会社には、理念が必要らしいから」
「創業するときに作るものだから」

という理由で、なんとなく作られているケースもあります。

私自身、ゴールデンサークル理論を知り、WHYを伝える活動を続け、その結果として起こる変化を見てきたことで、初めて、

「経営理念とは、このためにあるのか」

と腑に落ちました。

経営理念やミッションは、外部へ向けて、きれいな言葉を掲げるためだけのものではありません。

経営者や働く人たちが、自分自身の本質とつながるための言葉です。

その言葉を見ることで、

「自分は、このために働いている」
「自分たちは、この未来を実現したい」
「だから、この仕事をしているんだ」

と思い出すことができる。

すると、内側から自然にエネルギーが湧いてきます。

そして、その人らしさや、その会社らしさが、自然に仕事のなかへ表れていく。

それが、お客さまにも伝わることで、共感や信頼が生まれ、結果として商品やサービスが自然に選ばれるようになります。

経営理念は売上にもつながる

櫻木
櫻木

経営理念は、理想論や精神論として大切なのではありません。

現場で起こる変化を見ていくと、売上にも直接つながる力を持っています。

本質と一致した経営理念があることで、経営者や社員の行動が変わる。

お客さまへの接し方が変わる。
商品やサービスの届け方が変わる。
発信する言葉が変わる。
お客さまとの関係が変わる。

それらが積み重なって、結果として自然に売上にもつながっていきます。

大企業でも個人商店でも、経営理念を掲げているところがあります。

それが働いている人たちに浸透し、一人ひとりの本質と一致すれば、内側から大きな力が湧いてくるということですね。

櫻木
櫻木

そうですね。

ただし、経営理念があるだけでは十分ではありません。

その言葉を見たときに、

「これこそ自分らしい」
「これこそ、自分が働く理由だ」

と感じられるところまで、言語化できているかどうかが大切です。

そこまでたどり着いた理念は、働く人のモチベーションを高めるだけでなく、お客さまの心を動かすエネルギー源にもなります。

本質とつながった瞬間は、表情に現れる

櫻木さんが講演をされたとき、参加者のなかに、

「この人は、自分の本質と経営が一致している」

と感じる方もいらっしゃいますか?

櫻木
櫻木

もちろん、もともと本質と仕事が一致している方もいらっしゃいます。

また、講演でこのような話をお伝えした瞬間に、

「これだ」

と、ぴったりはまる方もいます。

そのときは、こちらから見ていても分かるんです。

目の色が変わる。
背筋が伸びる。
表情が明るくなる。
その場の雰囲気まで変わる。

オーラが変わる、と表現してもよいかもしれません。

今振り返ると、それは、その方が自分の本質とつながった瞬間だったのではないかと思います。

そのような瞬間を目の前で見ると、櫻木さん自身も、

「この仕事をしていてよかった」

と感じるのではないでしょうか。

それは、櫻木さん自身の本質にもつながっていますよね。

櫻木
櫻木

そうなんです。

私にとっては、その瞬間が一番うれしいですね。

その人が自分の本質とつながり、突然エネルギーが湧いてくる。

それを目の前で見たときには、私自身も、魂が震えるような感覚になります。

今回の本質

それでは、最後に今回のお話の本質をお願いします。

櫻木
櫻木

今回の本質は、二つの問いです。

経営理念、ミッション、ビジョンなどを掲げている方も多いと思います。

そのうえで、あらためて自分自身に問いかけてみてください。

「あなたのWHYは、あなたを突き動かしているでしょうか?」

そして、

「そのWHYによって、あなたの内側からエネルギーが湧いてくるでしょうか?」

経営理念は、立派に見える言葉をつくることが目的ではありません。

その言葉が、自分の本質とつながっていること。

その言葉を見たときに、

「これこそ、自分が仕事をする理由だ」

と思えること。

そこまで一致したWHYを言葉にできたとき、経営者や働く人が自然に動き始めます。

そして、そのエネルギーがお客さまにも伝わり、自然に選ばれる経営へとつながっていきます。

第9回と第10回は、ゴールデンサークル理論について、続けてお話しいただきました。

まだ前回を聴いていない方は、ぜひ第9回とあわせてお聴きください。

また、概要欄には、サイモン・シネックのゴールデンサークル理論の動画もご案内します。

動画と今回のPodcastをあわせてご覧いただくと、より理解が深まると思います。

この番組では、リスナーの皆さまからのお便りをお待ちしています。

概要欄のお便りフォームから、ご質問やご感想など、ぜひお気軽にお寄せください。

また、Xで感想を投稿される際は、ハッシュタグ「#本質整合」を付けていただけるとうれしいです。

それでは、今回もお聴きいただきありがとうございました。

櫻木
櫻木

ありがとうございました。

「本質と一致して生きる」。

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