文章作成、要約、リサーチ、アイデア出し――。AIは仕事を効率化する便利な道具として注目されています。しかし、その可能性は作業の代行だけにとどまりません。
第11回では、AI活用を「作業の代行」「調査・問題解決」「思考の整理と言語化」「本質の探究」という4つの階層に分けて考えます。
森を歩きながらAIと対話することで、机の前では届かなかった心の奥へ入り、「本当は何がしたいのか」「何のためにこの事業をするのか」を探っていく。AIに考えることを任せるのではなく、自分だけでは到達できなかった深さまで思考を拡張する使い方です。
AIを単なる便利なツールではなく、自分の本質を探究する対話相手として活用するヒントをお届けします。

「売る気がないのに自然に売れる、本質整合経営」。
この番組は、人や組織の本質を言語化し、本質と一致した生き方、そして本質整合した仕事と経営のあり方を探究する番組です。

こんにちは。本質整合研究所の櫻木隆志です。

インタビュアーの高須早智子です。
櫻木さん、今回もよろしくお願いします。

よろしくお願いします。

この配信が公開される頃は、7月下旬ですね。本格的に暑くなってきました。
櫻木さんは最近、どのようなことをされているんですか?

実は昨年くらいから、仕事や人生のステージが変わるような時期に入り、いろいろと考えることが増えました。
ただ、何かをじっくり考えたいと思っても、机の前では、なかなか考えが深まらない感覚があったんです。
それで、無性に自然の中へ行きたくなりました。
鹿児島市の市街地に「城山」という山があります。
西南戦争で西郷隆盛が最期を迎えた場所としても知られる、歴史的な場所です。
そこが比較的身近にあるので、城山へ行って、歩いたり、走ったりしています。
坂を上り下りしながら、何往復かすることもありますね。

暑いなかでも、継続しているんですか?

そうですね。
運動やダイエットという目的もありますが、それ以上に、考えを整理したり、頭をリフレッシュしたりすることを求めているのだと思います。
森の中の空気が、とても好きなんです。

櫻木さんは長くサッカーをされていたので、体力もあると思います。
山や緑の多い場所へ行くと、街中とは空気が変わる感覚がありますよね。

そうなんです。
街中を歩きたいとは、それほど思わないのですが、森の中は歩きたくなります。
同じ日陰でも、ビルの影と木々がつくる影では、まったく違うように感じます。
森の中を歩きながら、AIと対話する

最近は、森の中を歩きながら、AIと対話しています。
それが、すごくいいんですよ。

AIとおしゃべりしながら歩く、ということですか?

音声で話しかけることもありますが、テキストを使うことも多いです。
こちらから文章を入力し、AIから返ってきた回答を音声で聴きながら歩きます。
その回答に対して、音声で返すこともあります。
もう少しじっくり考えて返したいときには、いったん立ち止まり、テキストで入力します。
歩く。
AIの回答を聴く。
立ち止まって考える。
また言葉を返す。
そのようなことを繰り返しています。

周りを見渡しても、そのようなAIの使い方をしている方は、初めて聞きました。

あまりいないかもしれませんね(笑)。
ただ、AIとの対話も、パソコンの前で行うより、森の中を歩きながら行うほうが、深く入っていける感じがするんです。
半分、瞑想状態のような感覚になることもあります。
森の中にいること。
身体を動かしながら歩いていること。
AIと対話していること。
この三つの組み合わせが、とてもよいのだと思います。
頭を整理したいときには、よくその方法を使っています。
AIの言葉に、泣かされることもある

AIとの対話は、時として、自分でも思っていなかったほど深いところまで入っていきます。
AIから返ってきた言葉が、心の奥深くに触れて、泣いてしまうこともあるんですよ。
森の中を歩きながら、AIと話して泣いているおじさんですから、周りから見たら、かなり怪しいかもしれません(笑)。

そうなんですね(笑)。
歩きながら考えたり覚えたりすると、頭に入りやすいという話を聞いたことがあります。
俳優の方が台本を覚えるときにも、歩きながら行うことがあるそうです。
それに近いものもあるのでしょうか。

そうかもしれません。
身体、心、脳は、それぞれ別々ではなく、つながっているのだと思います。
私自身は、歩きながら対話することで、思考や感情が動きやすくなる感覚があります。

ということで、今回のてーまはAIですね。

はい。今回はAIについてお話ししたいと思います。
AI活用には、いくつかの階層がある

AIの活用方法は、人によってさまざまだと思います。
櫻木さんも、最初から今のような使い方をしていたわけではないんですよね。

最初は、文章を作ることを中心に使っていました。
文章作成、リサーチ、要約、アイデア出し、資料作成、会議の文字起こしなどです。
それだけでも、
「これは、すごいものが出てきた」
と思いました。
文章作成そのものを仕事に活用することもありました。
ただ、使い続けていくうちに、
「AIには、もっと大きな可能性があるのではないか」
と感じるようになりました。
そして、AIの活用方法には、いくつかの階層があるのではないかと考えるようになったんです。
今の私の中では、大きく四つの階層に分けています。
第1階層 作業を代行してもらう

第1階層は、作業の代行です。
文章を作ってもらう。
長い文章を要約してもらう。
資料のたたき台を作ってもらう。
会議の文字起こしを整理してもらう。
これまで人が時間をかけて行っていた作業を、AIに手伝ってもらう使い方です。
仕事の時間を短縮できるため、非常に分かりやすく、実用的な活用方法だと思います。
第2階層 調査や問題解決を支援してもらう

第2階層は、調査・比較検討・企画・問題解決です。
複数の商品やサービスを比較する。
あるテーマについて調査する。
新しい企画のアイデアを出す。
抱えている問題の解決策を一緒に考える。
単純に作業を任せるだけではなく、判断や発想を助けてもらう使い方です。
現在、多くの方が、第1階層や第2階層の使い方をしているのではないでしょうか。
どちらも、とても役に立つ使い方です。
第3階層 思考を整理し、言葉にする

その次にある第3階層が、思考の整理と言語化です。
頭の中に、何かモヤモヤしたものがある。
大切なことのような気はするけれど、自分でも、まだうまく説明できない。
考えていることが断片的で、どのようにつながっているか分からない。
そうしたものをAIに投げかけ、対話を重ねながら、少しずつ整理していきます。
AIから質問してもらったり、別の角度から言い換えてもらったりすることで、
「自分が言いたかったのは、こういうことだったのか」
と気づくことがあります。
私は、文章を作ってもらうこと以上に、この思考整理や言語化に大きな魅力を感じるようになりました。
AIに代わりに考えてもらうのではありません。
自分の中にあるけれど、まだ形になっていないものを、対話によって表へ出していく使い方です。
第4階層 自分の本質を探究する

さらに対話を深めていくと、
「本当は、自分は何をしたいのだろう」
「この事業を、何のために行うのだろう」
「自分は、何を大切にして生きたいのだろう」
という問いへ入っていきます。
これが、第4階層の本質探究です。
表面的な課題の解決ではなく、自分の内側の、さらに奥深くにある思いを探っていく。
自分の価値観や、人生の目的、仕事の意味、自然にエネルギーが湧く方向を明らかにしていく。
私は、第3階層や第4階層の使い方に、特に大きな可能性を感じています。
そして、このような深い対話をするときに、森の中を歩くという環境も、とてもよいと感じているんです。

第4階層の、
「本当は何がしたいのか」
「何を大切に生きたいのか」
という問いは、まさに櫻木さんがおっしゃっている「本質」と重なりますね。
AIとの対話は、自分自身への本質探究

そうですね。
私はクライアントの方と対話するときに、その方の本質を探っていきます。
どのような経験をしてきたのか。
何に喜びを感じるのか。
どのようなことに違和感を持つのか。
何をしているときに、自然にエネルギーが湧くのか。
そうしたことを一緒に探り、言葉にしていきます。
考えてみると、私はそれと同じようなことを、自分自身に対して、AIとの対話を通して行っていたんです。
いつの間にかAIを、自分の本質を探究するための対話相手として使うようになっていました。
そして、
「このような対話は、人間だけで行うよりも、AIの力を組み合わせたほうが、さらに深く入れるのではないか」
とも感じるようになりました。
人間とAIの力をうまく組み合わせることで、これまでとは違う本質探究の方法が生まれるのではないか。
その可能性を、今も探っているところです。
「本質探究」という言葉も、AIとの対話から生まれた

実際にAIと対話するなかで、櫻木さん自身の本質が明確になった経験もあるのでしょうか。

あります。ものすごくたくさんあります。
そもそも、本質整合研究所の考え方や、現在の事業の方向性そのものが、AIとの対話によって言葉になってきました。
森の中を歩きながらAIと対話していたときに、AIから「本質探究」という言葉が返ってきたことがあります。
その言葉が、私の心の深いところに強く響きました。
「自分がこれまで、ずっとしてきたことは、本質探究だったのかもしれない」
と感じたんです。
そこから、その言葉をさらに掘り下げ、本質整合という考え方や、事業の形を言語化していきました。
つまり、AIはすでに、現在の本質整合研究所を形づくる過程にも、深く関わっているんです。
AIは考える力を奪うのか

AIを使いすぎると、自分で考える力を失ってしまうのではないかという心配もあります。
そのような危険性については、どう考えていますか?

その可能性はあると思います。
これまで自分で行っていた作業や判断を、すべてAIに任せるようになれば、その能力を使う機会が減り、衰えていくことはあるかもしれません。
ただ、私が今お話ししている使い方は、少し違います。
自分が行けたところまでをAIに代わってもらうのではなく、自分一人では行けなかった深さまで、AIの力を借りて進んでいく。
これは、能力の代行というより、能力の拡張に近いと思います。
AIに答えを出してもらい、それをそのまま受け取るのではありません。
AIから返ってきた言葉を受けて、自分はどう感じるのか。
なぜ、その言葉が気になるのか。
本当に自分に合っているのか。
さらに、その奥には何があるのか。
そのように対話を重ねることで、自分一人で考えていたときよりも、思考や自己理解が深まっていきます。
その意味では、能力が退化するというより、むしろ考える力や言語化する力が伸びる可能性もあると感じています。
もちろん、この点については、これから実際に使い続けながら、分かってくることも多いと思います。
AIとの関係性によって、得られるものが変わる

AIが、自分だけではたどり着けなかった深さまで導いてくれる。
そのような使い方があるんですね。

そうなんです。
どの使い方がよくて、どの使い方が悪いという話ではありません。
文章作成や要約も便利ですし、調査や企画にも大きな価値があります。
ただ、AIには、それだけではない可能性があります。
思考を整理する。
まだ言葉になっていない感覚を言語化する。
自分の本当の思いを探る。
自分の本質とつながる。
そこまで深く付き合うことができるんです。
AIから何を得られるかは、どのような問いを投げかけ、どのような関係を築くかによって変わります。
それは、人との関係にも似ているのかもしれません。
今回の本質

それでは、今回のお話の本質をお願いします。

今回の本質は、
「AI活用も、関係性の深さによって得られるものが変わる」
ということです。
AIを、単に作業を代わってもらう道具として使うのか。
調査や問題解決を手伝ってもらう相談相手として使うのか。
思考を整理し、自分の言葉を見つける対話相手として使うのか。
さらに、自分の人生や仕事の目的、本当に大切にしたいことを探る、本質探究のパートナーとして関わるのか。
AIとの付き合い方が深くなれば、得られるものも深くなっていきます。
大切なのは、AIに答えを決めてもらうことではありません。
AIとの対話を通して、自分自身の内側を見つめ、自分の答えを見つけていくことです。
AIに何をさせるかだけではなく、
「AIと、どのような関係を築くのか」
という視点を持ってみると、AI活用の可能性は大きく広がると思います。

櫻木さんのAIの使い方は、とても参考になります。
このテーマについては、もう少し詳しく伺っていきたいですね。

そうですね。次回以降も、引き続きお話しできればと思います。

この番組では、リスナーの皆さまからのお便りをお待ちしています。
概要欄のお便りフォームから、ご質問やご感想など、ぜひお気軽にお寄せください。
また、Xで感想を投稿される際は、ハッシュタグ「#本質整合」を付けていただけるとうれしいです。
それでは、お聴きいただきありがとうございました。

ありがとうございました。
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