自分や会社の「本質」は、どうすれば見つかるのでしょうか。
第20回では、歴史を振り返ることと、本質探究のつながりを考えます。
自分が何に夢中になり、何に喜び、何に違和感や怒りを感じてきたのか。会社がなぜ生まれ、どんな出来事を経て、何を繰り返し大切にしてきたのか。
一つひとつの出来事を点として見るのではなく、振り返りながら線につないでいくと、「違うことをしているようで、実はずっと同じ思いで動いていた」と気づくことがあります。
WHYや経営理念も、頭で考えて“作る”ものというより、もともと自分たちの中にあったものを、歴史から“発見する”“思い出す”ものなのかもしれません。
今回の探究テーマは「自分、自社は何者なのか。歴史の中から発見してみよう」です。

「売る気がないのに自然に売れる、本質整合経営」。
この番組は、人や組織の本質を言語化し、本質と一致した生き方、そして本質整合した仕事と経営のあり方を探究する番組です。

こんにちは。本質整合研究所の櫻木隆志です。

インタビュアーの高須早智子です。
櫻木さん、今回もよろしくお願いします。

よろしくお願いします。

前回は、「歴史は何のために学ぶのか」というテーマでお話ししました。
収録が終わってからも、それぞれの地元の歴史の話で盛り上がりましたよね。

そうでしたね。
鹿児島も、歴史的な場所が本当に多いんです。
全国からわざわざ見に来る方がいるような場所が身近にあるのに、地元に住んでいる自分は意外と知らなかったり、行ったことがなかったりする。
今になって、
「もったいなかったな」
と思うことがたくさんあります。
今日は、その歴史の話を、もう少しこの番組のテーマである「本質」とつなげて考えてみたいと思います。
本質を探るなら、歴史を振り返る

自分の本質を探るとき、歴史を振り返ることは、とても重要だと思っています。
自分が何者なのかを考えるなら、
「これまで、自分はどう生きてきたのか」
を見ないと分からないですよね。
会社でも同じです。
「この会社は何者なのか」
と考えるなら、
なぜ生まれたのか。
誰が、どんな思いで始めたのか。
これまで、どんな出来事があったのか。
途中で何が変わったのか。
それでも変わらず残っているものは何なのか。
そこを振り返る必要があります。
これは個人でも、企業でも、国でも同じだと思います。

会社の歴史を振り返ると、
「なぜこの会社は生まれたのか」
「創業者は何を大切にしていたのか」
といったことが見えてきますよね。
そこが分かると、今働いている人にとっても、会社とのつながり方が変わりそうです。

そうなんです。
今だけを見ても、自分たちが何者なのかは、なかなか分かりません。
今という一点は、それまでの積み重ねの上にありますから。
人生の「点」をつなぐと、ストーリーが見えてくる

個人の場合なら、
何が好きだったのか。
何に夢中になったのか。
何をしているときにうれしかったのか。
逆に、何に怒りを感じたのか。
どんなことに違和感を覚えたのか。
そういうものを振り返っていくと、
「自分は、昔からこういうことに反応していたんだな」
というものが見えてきます。

前回、私の本質を少し探っていただいたときも、そうでしたね。
「地元」や「子ども」といったキーワードが、自分の中から出てきました。
普段は、そこまで意識していなかったんですけど。

そうですよね。
その時その時では、別々の出来事に見えていても、後から振り返るとつながっていることがあります。
一つひとつは点だったものが、線になる。
すると、
「自分の人生って、こういうストーリーだったのかもしれない」
と見えてくる。
違うことをしているようでも、実は同じ思いで動いていた。
何度も同じような選択をしていた。
なぜか同じタイプの出来事に強く反応していた。
そういうところに、自分の本質を知るヒントがあると思います。
自分のことは、自分でも意外と分かっていない

振り返ってみると、本当にいろんな気づきがありますよね。
自分のことなのに、自分では気づいていなかったことが結構あります。

ありますよね。
自分のことは自分が一番分かっているようで、実は意外と分かっていません。
今目の前にあることだけを考えていると、その奥にあるものは見えにくい。
でも、少し時間軸を広げて、
「これまでどうだっただろう」
と振り返ると、
「そういえば、昔からずっとこれを大事にしていたな」
というものが見えてきます。
会社のWHYを考えると、必ず歴史に行き着く

櫻木さんがお仕事で関わっている街の電器屋さんでも、やっぱりお店の歴史を振り返るところから入るんですか?

そうですね。
私は、お店や会社のWHYを考えることを、とても大事にしています。
「自分たちは、何のためにこの仕事をしているのか」
という問いです。
でも、このWHYを考えようとすると、結局、歴史を振り返ることになるんです。
なぜ、この店を始めたのか。
創業当時、何を大事にしていたのか。
これまで、どんなお客さまとの関係があったのか。
何がうれしかったのか。
どんな時に苦しかったのか。
それでも、なぜ続けてきたのか。
そういう話を聞いていくと、だんだん、そのお店の根っこにあるものが見えてきます。
経営理念は「作る」ものなのか

ここで、最近すごく感じていることがあります。
「経営理念を作る」と言いますよね。

言いますね。

でも、実際にいろいろな方と一緒に考えていると、
「作る」
という言葉に、少し違和感を覚えるようになったんです。
頭で考えて、立派な言葉を作る。
それだと、どうしても外から持ってきたものになりやすい。

確かに「経営理念」と言われると、
「ちゃんとしたものを作らなきゃ」
という感じがしますよね。

そうなんです。
でも、本当にその人や会社を動かす理念って、考えて作るというより、
もともとあったものを発見する
という感覚に近いんです。
WHYは「考える」より「見つける」

いろいろ話を聞いて、歴史を振り返っていくと、
「そういえば昔から、こういう思いでやってきたよね」
ということが見えてきます。
事業の内容は変わっていても、
「ここでやっていたことと、今やっていることって、一見違うけど、根っこは同じだよね」
と気づくこともあります。
すると、
「これが、自分たちの根っこにあるものなのかもしれない」
と見えてくる。
だからWHYや本質は、
「新しく作り出す」
というよりも、
「見つける」
という方が近いと思います。
「発見する」より、「思い出す」

もっと言えば、
「発見する」
だけではなく、
「思い出す」
という表現も近いかもしれません。
本当は、もともとあるんです。
でも、日々の仕事に追われたり、売上のことを考えたり、目の前の課題に対応しているうちに、見えなくなっている。
それを、過去を振り返ることで思い出す。

私の「地元」や「子ども」への思いも、突然今回生まれたものではなくて、昔からあったものですもんね。

そうです。
ずっとあった。
でも、普段は意識していなかった。
そこへ対話を通して光を当てると、
「ああ、自分って、やっぱりこういうことを大事にしてきたんだ」
と思い出す。
本質探究は、そういうプロセスでもあると思います。
本質とつながると、エネルギーが変わる

そして、そこが見つかった時って、何かが変わるんですよね。
個人だったら、急に元気になる。
「そうか、自分はこれをやりたかったんだ」
という感覚になる。
会社でも、
「自分たちは、このためにやってきたんだ」
とみんなが納得すると、エネルギーが一つの方向へ集まっていきます。
逆に、頭だけで考えて、
「地域社会に貢献します」
「お客さま第一です」
「豊かな未来を創造します」
というような、きれいな経営理念を作っても、それだけでは人は動きません。
その言葉が、自分たちの歴史や実感とつながっていないからです。

だから、
「これだったんだ」
と発見できた理念の方が、浸透しやすいんですね。

そうだと思います。
外から与えられた言葉ではなく、自分たちの中にあったものだからです。
本質につながる瞬間は、雰囲気が変わる

高須さんも、インタビューをされていて、
「今、この人の本音に触れたな」
とか、
「今、この人自身と話がつながったな」
と感じる瞬間ってありませんか?

ありますね。
話していて、
「今、すごくマッチしているな」
と感じるような瞬間があります。

そうですよね。
その瞬間って、たぶん、その人の中にもともとあったものと、言葉がつながった瞬間なんだと思います。
思い出した瞬間。
本質とつながった瞬間。
そうすると、声のトーンが変わったり、表情が変わったり、急に話が生き生きしてくる。
そういうことって、ありますよね。
本質を無視して、戦略だけ考えてもうまくいかない

企業でも同じです。
例えば、
「どの市場を狙うか」
「ターゲットは誰にするか」
「どんな商品を売るか」
「どうマーケティングするか」
ということは、もちろん大切です。
でも、その前に、
「そもそも自分たちは何者なのか」
が定まっていないと、戦略が本質とずれてしまうことがあります。
市場としては正しそう。
数字上は伸びそう。
流行っている。
でも、自分たちらしくない。
すると、働いている人のエネルギーが湧かない。
なかなか続かない。
外から見ると正しい戦略でも、自分たちにとっては整合していない。
そういうことは、かなりあると思います。
「自分たちは何者か」が、すべての起点になる

だから、
「自分は何者なのか」
「自分たちの会社は何者なのか」
という問いは、とても大事なんです。
そして、その答えは、今だけを見ていても、なかなか見つかりません。
これまでの人生や、会社の歴史の中にある。
何を大切にしてきたのか。
何を選んできたのか。
何を守ってきたのか。
何を喜び、何に怒り、何に違和感を持ってきたのか。
その積み重ねの中から、
「自分たちは、こういう存在なんだ」
というものが見えてくる。
歴史を振り返ることは、そのための大切な入口だと思います。
今回の探究テーマ

それでは、今回のお話の探求テーマをお願いします。

今回は、本質そのものの問いですね。
「自分、そして自分の会社は何者なのか。歴史の中から発見してみましょう」
ということです。
自分自身なら、
これまで、どんなことに夢中になってきたでしょうか。
何に喜び、何に怒り、何に違和感を覚えてきたでしょうか。
どんな選択を、繰り返してきたでしょうか。
会社なら、
なぜ生まれたのでしょうか。
創業者は、何を大切にしていたのでしょうか。
これまで、どんな出来事がありましたか。
時代が変わっても、なぜかずっと続いているものは何でしょうか。
一つひとつの点をつないでみると、そこに一つのストーリーが見えてくるかもしれません。
そして、そのストーリーの中に、
「自分は何者なのか」
「自分たちは何者なのか」
という問いへのヒントがあると思います。

この番組では、ホームページで「読むPodcast」も公開しています。
単なる文字起こしではなく、放送での対話をもとに、さらに読みやすく、考えを深められる形に再編集しています。
こちらも、ぜひご覧ください。
また、この番組は、答えを一方的にお伝えする番組ではありません。
リスナーの皆さまと一緒に問いへ向き合い、本質を探究していく番組です。
今回の探究テーマ、
「自分、自社は何者なのか。歴史の中から発見してみよう」
についても、ぜひお便りフォームからお聞かせください。
皆さまの問いや気づきが、次回以降の探究につながるかもしれません。
それでは、今回もお聴きいただきありがとうございました。

ありがとうございました。
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