P013_「聞く」と「読む」は何が違う?思考を広げる音声、深める文字

Podcast
同じ内容でも、音声で聞くことと、文字で読むことでは、なぜ受け取り方が違うのでしょうか。

第13回では、会話を読み物として再編集した「読むPodcast」の公開をきっかけに、音声と文字、それぞれの特徴を考えます。

音声は、人柄や感情、空気感まで自然に伝わり、流れのなかで思考を広げやすい。一方、文字は立ち止まり、戻り、考え、味わいながら、思考を深めることができます。

ChatGPTとのライブ音声対話とテキスト対話を比べて見えてきたのも、単なる「音声か文字か」ではなく、立ち止まって考える時間があるかどうかという違いでした。

今回から、番組の最後も「正解」を示すのではなく、リスナーの皆さんと一緒に考える「探究テーマ」へ変わります。

あなたは、どんなときに聞き、どんなときに読んでいるでしょうか。

「売る気がないのに自然に売れる、本質整合経営」。

この番組は、人や組織の本質を言語化し、本質と一致した生き方、そして本質整合した仕事と経営のあり方を探究する番組です。

こんにちは。本質整合研究所の櫻木隆志です。

インタビュアーの高須早智子です。

櫻木さん、今回もよろしくお願いします。

よろしくお願いします。

今回で第13回となりました。

今日は、最初に櫻木さんからお知らせがあるんですよね。

「読むPodcast」を公開しました

はい。

このPodcastを始めたときから、放送内容を文字でも読めるページを作りたいと考えていました。

これまでの放送を一つずつ振り返りながら、文字起こしページの制作を進めてきたんです。

ただ、実際に作り始めると、

「音声をそのまま文字に起こすだけでは、何か違う」

と感じるようになりました。

文字起こしをそのまま読むと、音声では自然に聞こえていた会話が、文章としては読みにくかったり、伝わり方が違ったりします。

そこで、単なる文字起こしではなく、音声の内容をもとに、読むための会話記事として全面的に再編集することにしました。

そのページを、「読むPodcast」として公開しています。

具体的には、どこから読むことができますか?

この放送の概要欄にもリンクを掲載します。

本質整合研究所のホームページに「読むPodcast」のコーナーがありますので、そこから、これまでの放送をお読みいただけます。

形式としては、高須さんと私の会話を残しています。

ただし、発言内容は音声をそのまま書き起こしたものではありません。

言葉の重複や言い直しを整理するだけでなく、読み物として意味が伝わるよう、構成や表現も含めて再編集しています。

全面的に再編集してくださっていると聞いて、私も少し安心しました(笑)。

Podcastは会話形式ですから、そのまますべて文字にすると、やはり違和感が出ますよね。

そうなんです。

最初は、「あの」「ええと」といった言葉を取り除き、文章をきれいにすればよいと思っていました。

ところが、それだけでは、やはり読み物としてしっくりこなかったんです。

結局、話した内容や意味を大切にしながら、文章として全面的に書き直す形になりました。

Podcastを音声で聞いたあとに、あらためて文章でも読んでみる。

さらに、文章を読んでから、もう一度音声を聞く。

そのような楽しみ方もできそうですね。

そうですね。

今回は、まさに「聞くことと読むこと」をテーマにお話ししたいと思います。

音声と文字では、何が違うのか

今日のメインテーマは、

「聞くこと」と「読むこと」

ですね。

音声と文字と言ってもよいと思います。

同じ内容であっても、音声で聞く場合と、文字で読む場合では、何かが違います。

読むPodcastを作る過程で、その違いを強く感じました。

そこで、

「音声と文字では、何がどう違うのだろう」

と、自分なりに考えてみたんです。

読むPodcastを実際に作ったことで、その違いを実感したわけですね。

そもそも、放送内容をホームページへ掲載したいと思ったのは、どのような理由からだったのでしょうか。

櫻木
櫻木

当初は、検索対策という目的が大きかったです。

Podcastの音声だけでなく、テキストとしてホームページに掲載すれば、検索を通して、より多くの人に見つけてもらえるのではないかと考えていました。

ところが、実際に作ってみると、それだけではないと気づきました。

音声を文字へ置き換えることは、同じ内容を別の形で載せるだけではありません。

聞くことと読むことでは、体験の種類そのものが違うのではないか。

そう思い、さらに深掘りしてみました。

人類は、文字よりずっと長い年月、話してきた

櫻木
櫻木

音声と文字は、どちらもコミュニケーションの手段です。

そこで、人類のコミュニケーションの歴史について調べてみました。

最も古いコミュニケーションは、言葉を使わないものだったと考えられます。

表情。
身ぶり。
手ぶり。
声の調子。

そうした非言語のコミュニケーションです。

その後、話し言葉が生まれ、人は言葉を話し、相手の言葉を聞くようになりました。

文字が使われるようになったのは、それよりはるかに後です。

人類は非常に長い間、話すことと聞くことを中心にコミュニケーションを行い、文字を使ってきた歴史は、それとは比較にならないほど短いものです。

その後、印刷物、電話、ラジオ、テレビ、インターネットなど、さまざまなメディアが生まれました。

しかし、人間のコミュニケーションとしては、読み書きよりも、話すことと聞くことのほうが、原始的で、本能に近いものなのではないかと思いました。

音声は、人間にとって自然なコミュニケーション

櫻木
櫻木

音声を聞くことは、比較的疲れにくいですよね。

人の話を聞くときには、言葉の意味だけでなく、

声の調子。
話す速さ。
間の取り方。
感情。
人柄。
その場の空気感。

といったものも、自然に伝わってきます。

それほど意識して努力しなくても、さまざまな情報を受け取ることができます。

人類が長い時間をかけて行ってきたコミュニケーションだからこそ、話すことや聞くことは、人間にとって自然なのかもしれません。

一方、文字は非常に便利ですが、読む側も書く側も、ある程度意識して取り組む必要があります。

文章を読み、意味を理解し、自分の頭の中で組み立て直す。

音声を聞くことに比べると、少し頑張る必要があるように感じます。

文字は、立ち止まって考えられる

櫻木
櫻木

ただし、文字には、音声とは違う大きな利点があります。

文章なら、途中で立ち止まることができます。

前の部分へ戻る。
同じ一文を何度も読む。
気になる言葉について考え込む。
自分の経験と重ね合わせる。
ゆっくり味わう。

音声は、基本的には時間とともに流れていきます。

会話の流れに乗って聞くことが中心になります。

文字は、その流れをいったん止めて、自分のペースで受け取ることができます。

この違いは、とても大きいと思います。

同じ内容であっても、話し方や文章の形によって、受け取り方が変わりますよね。

櫻木
櫻木

変わりますよね。

赤ちゃんが言葉を覚える過程を考えても、最初は話し言葉です。

周りの大人の声を聞き、意味を感じ取り、少しずつ自分でも話すようになります。

読み書きを本格的に学ぶのは、その後です。

そう考えると、話すことと聞くことは、論理的な読み書きよりも前に身につく、より根源的なコミュニケーションなのかもしれません。

ChatGPTとの音声対話は、とても自然になった

前回までの放送では、AIについても取り上げました。

AIと対話するときにも、音声で話す場合と、文字を入力する場合がありますよね。

櫻木
櫻木

そうですね。

高須さんは、ChatGPTのライブ音声機能を使ったことはありますか?

まだ使ったことがありません。

櫻木
櫻木

とても自然なんですよ。

これまでのAIとの音声対話は、こちらが話している間、AIは聞く。

こちらが話し終わったら、AIが話し始め、今度はこちらが聞く。

そのように、話す側と聞く側が交代する形でした。

お互いの発言が重なると、会話がうまく進まないこともありました。

ところが、ライブ音声では、AIが話している途中に人間が言葉を挟んでも、その状況をある程度判断します。

人間の話を聞くために自分の発言を止めるのか。
少し相づちが入っただけなので、話を続けるのか。

そうしたことを判断しながら会話が進むため、人と話しているような自然さがあります。

さまざまな生成AIがありますが、自然な音声対話という点では、ChatGPTは非常に進んでいると感じました。

自然な音声対話なのに、なぜか深くならない

櫻木
櫻木

私もライブ音声を使い、いろいろと対話してみました。

非常に自然で、会話としては楽しいんです。

ただ、使っているうちに、

「なぜか対話が深まらない。浅い気がする。」

と感じるようになりました。

同じChatGPTを使っているのに、文字でやり取りしたときのほうが、対話が深くなるんです。

そこで、その違いについてChatGPT自身にも尋ねてみました。

すると、ライブ音声は自然でテンポのよい会話を行うことに向いている一方、じっくり考えながら深い対話をする場合には、テキストが向いているという趣旨の回答が返ってきました。

それを聞いて、

「やはり、そうだったのか」

と思いました。

深く対話したいときは、文字のほうがおすすめということですね。

櫻木
櫻木

基本的には、そうだと思います。

森の中で泣いたAI対話は、音声だった

櫻木
櫻木

ただ、そのときに、一つ気になることがありました。

以前、森の中を歩きながらChatGPTと対話し、涙を流したという話をしました。

あのときの対話は、とても深かったんです。

「音声対話は浅く、文字の対話は深い」

という単純な違いであれば、あの体験は説明できません。

そこで、あらためて、そのときの使い方を振り返ってみました。

確かに、私は音声でChatGPTへ話しかけていました。

そして、ChatGPTから返ってきた答えも、音声で聞いていました。

ただし、ライブ音声ではなかったんです。

私が音声で入力した内容は、いったんテキストに変換され、それがChatGPTへ送られていました。

ChatGPTも、テキストとして回答を生成していました。

私は、そのテキストを読み上げ機能で音声として聞いていたんです。

つまり、入り口と出口は音声でしたが、対話の構造は、テキストによるやり取りだったわけです。

大切なのは、音声か文字かだけではない

櫻木
櫻木

そこから分かったのは、単純に、

「音声だから浅い」
「文字だから深い」

ということではないということです。

重要なのは、

立ち止まって考える時間があるかどうか

なのではないでしょうか。

ライブ音声では、自然な会話が途切れずに流れていきます。

相手が話せば、すぐにこちらも返す。

テンポよく言葉が行き交います。

一方、テキストを介した対話では、相手の言葉を受け取り、一度立ち止まって考えます。

どの言葉に反応したのか。
自分は何を感じたのか。
本当は何を返したいのか。

それを考えてから、次の言葉を渡します。

相手から言葉を受け取り、自分の中で味わい、考え、また言葉を返す。

この間があることで、対話が深くなっていくのだと思います。

ライブ音声は、自然に言葉が次々と続いていく。

一方、音声で入力したとしても、いったん文字になり、それを受け取って考える時間があれば、深い対話ができるということですね。

櫻木
櫻木

そうですね。

音声か文字かという違い以上に、

  • 流れていくコミュニケーションなのか
  • 受け取り、立ち止まり、考え、また渡すコミュニケーションなのか

という違いが大きいのだと思います。

音声は思考を広げ、文字は思考を深める

櫻木
櫻木

現時点では、

音声は思考を広げることに向いている
文字は思考を深めることに向いている

のではないかと感じています。

人と話していると、言葉が自然に出てきます。

相手の反応を受けて、思いもしなかった方向へ話が広がることもあります。

音声には、対話の流れのなかで発想を広げる力があります。

一方、文字には、言葉を固定し、立ち止まって見つめる力があります。

その言葉が本当に自分の考えを表しているのか。
その奥に、さらに別の思いがないか。
前後の考えは、どのようにつながっているのか。

そうしたことを考え、深めるのに向いています。

だからこそ、Podcastの内容も、そのまま文字に起こすのではなく、読むための文章として再編集したほうがよいと思いました。

音声で広がった対話を、文字によって整理し、さらに深める。

「読むPodcast」は、そのためのコンテンツでもあります。

音声と文字を往復する

音声のPodcastを聞いて興味を持った方には、ぜひ読むPodcastも読んでいただきたいですね。

櫻木
櫻木

そうですね。

音声を聞いて終わるのではなく、気になったテーマを文章でも読んでみる。

文章のなかで立ち止まり、自分の経験と重ねて考える。

そして、もう一度音声を聞く。

そのように、聞くことと読むことを往復すると、同じ内容から、さらに多くのものを受け取れるかもしれません。

「今回の本質」から「今回の探究テーマ」へ

それでは、今回のお話の本質をお願いします。

櫻木
櫻木

ここで、一つお知らせがあります。

第12回までは、番組の最後に「今回の本質」として、その回の結論のようなものをお伝えしてきました。

ただ、それも少し違うのではないかと思うようになりました。

この番組は、正解を教える番組ではありません。

本質とは何かを、私自身もリスナーの皆さんと一緒に探究し続ける番組です。

それなのに、毎回最後に、

「今回の正解は、これです」

というような形で終わるのは、この番組のあり方と少しずれているのではないか。

そう考えました。

そこで、今回から「今回の本質」ではなく、**「今回の探究テーマ」**をお渡しして終わりたいと思います。

答えを示して終わるのではなく、問いを持ち帰っていただく。

そして、それぞれの暮らしや仕事の中で考えていただく。

皆さんから寄せられた考えや気づきが、次の探究につながる。

そのような番組にしていきたいと思っています。

今回の探究テーマ

櫻木
櫻木

今回の探究テーマは、

「あなたは、どんなときに聞き、どんなときに読むでしょうか?」

そして、

「聞くことと読むことを、どのように使い分けていますか?」

という問いです。

気軽に情報を受け取りたいとき。
誰かの感情や人柄に触れたいとき。
移動しながら考えを広げたいとき。

そのような場面では、音声が合うかもしれません。

立ち止まって考えたいとき。
大切な言葉を味わいたいとき。
自分の考えを深めたいとき。

そのような場面では、文字が合うかもしれません。

どちらが優れているということではありません。

音声と文字には、それぞれ違う働きがあります。

皆さん自身は、どのように使い分けているでしょうか。

本質整合研究所のホームページでは、「読むPodcast」を公開しています。

これは、音声の文字起こしをそのまま掲載したものではありません。

放送内容を会話形式の読み物として再編集し、立ち止まりながら、ご自身の考えを深めていただけるものになっています。

この番組は、答えを一方的にお伝えする番組ではなく、リスナーの皆さまと一緒に問いへ向き合い、本質を探究していく番組です。

今回の問い、

「あなたは、どんなときに聞き、どんなときに読むでしょうか」
「聞くことと読むことを、どのように使い分けていますか」

について、

「私は、このように感じた」
「自分の場合は、こう使い分けている」

といったことを、ぜひお便りフォームからお聞かせください。

皆さまから届いた問いや気づきが、次回以降の探究につながるかもしれません。

それでは、今回もお聴きいただきありがとうございました。

櫻木
櫻木

ありがとうございました。

「本質と一致して生きる」。本質整合研究所がお届けしました。

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